心揺さぶれる注目ドラマ『Pachinko パチンコ』を深堀り!
生きていくために豊かな生活を求め、祖国を離れた韓国人一家の4世代に渡る愛の物語Apple TV+『Pachinko パチンコ』。移民問題や人種差別などが各国で問題になる今、改めて考えたい故郷とは?生きることとは?そして家族とは? 見る人の心動かす大作Apple TV+『Pachinko パチンコ』を深堀りします。
Apple TV+『Pachinko パチンコ』って??
ドラマの原作は、読書家であるバラク・オバマ元アメリカ大統領の「2019年のフェイバリット・ブックス」に選ばれ、イギリスのカミラ王妃も自身のファンクラブの推薦図書に選定、全米図書賞最終候補となりアメリカで100万部を突破する大ベストセラーとなったミン・ジン・リー/著、池田真紀子/翻訳の歴史小説『パチンコ』。4世代に渡る在日コリアンの一家の苦悩を描いた本作は、現代にもある人種差別、移民問題、家族愛や人間愛を一気に読ませる内容で、世界中に訴えた大作。一家の運命を客観的に追って描いた原作からドラマでは、主人公のソンジャの記憶の断片から未来のソンジャへ時代が流れ、ソンジャが若い頃(朝鮮植民時代~第二次世界大戦後)、ソンジャの孫であるソルモンが生きるバブル絶頂期の2つの時代が並行で描かれます。またオリジナルの解釈やストーリーが追加されていたり・・・ 70年という長い時の流れを感じさせない立体的な演出に、時間を忘れて見いってしまう名作です。
Apple TV+『Pachinko パチンコ』のSTORYを紹介
STORY
シーズン1
1910年代、日本統治下の韓国で釜山の漁村で育ったソンジャ(ユナ、キム・ミンハ、ユン・ヨジョン)。学校に行くことが叶わず、母の民宿の手伝いをする毎日。ある日、裕福な日本人の養子になった韓国人男性ハンス(イ・ミンホ)に出会う。地元にはいないハンスの都会的な雰囲気に恋に落ち、やがて妊娠する。が、日本人の妻子をもつハンスとは結婚することができず、実家の民宿で看病した親切な牧師イサク(ノ・サンヒョン)と結婚することになる。イサクとスンジャは、イサクの兄を頼り、日本の大阪に移住をする・・・ 時は流れ、バブル絶頂期。ソンジャの孫ソロモン(ジン・ハ)は、金融業界で苦労して出世しアメリカから帰国。再開発事業の中で、ある土地を巡る地上げプロジェクトに巻き込まれていく・・・全8話。
シーズン2
シーズン1の終わりから7年が経ち、第二次世界大戦が勃発。ソンジャ達が住む大阪も空襲の被害にあい、ハンスの根回しにより田舎での疎開暮らしが始まる。闇社会で暗躍し、大きな権力をもつことになったハンスは、ことあるごとにソンジャたちを助けるがその大きな闇に飲み込まれていく。一方ソロモンは新しい自身の会社を立ち上げ、自分を地獄へ追いやった金融業界の大物に復讐を誓い・・・全8話。
総製作費100億円の、壮大な世界観!
AppleTV+『Pachinko パチンコ』は、その題材から韓国制作の韓国ドラマととらえられがちですが、ハリウッドが制作を手がけたAppleTV+オリジナルシリーズ。韓国語、日本語、英語の3カ国語で物語が展開する国際的な作品です。関東大震災前の日本、関東大震災の様子、バブル期の日本を、カナダでセットを創り上げ、シーズン1だけで約100億円の製作費が投入されたほどの、超大作。歴史考証は入念に行われ、2秒のシーンにも莫大な労力が使われ、シーズン2では6人の研究者が担当したそう。壮大な世界観で魅了し、涙なくしては見られない本編はもちろんのこと、話題となったのがオープニング。主題歌に合わせながら、主要キャストたちがパチンコ店で思うがままに踊る映像には、韓国ドラマに見慣れた視聴者にも新鮮に映る、洗練されたセンスで、早送りなんていう無粋なことはせず見入ってしまうはず。
豪華な制作陣と、見ごたえのある演出
70年という年月を描く本作は、スタッフも豪華。ドラマというよりも映画のようなスケールの大きな演出も魅力です。シーズン1では、ジャスティン・チョン監督(『トワイライト』シリーズなど)、コゴナダ監督(『アフター・ヤン』など)がそれぞれ4話ずつ、シーズン2はリアン・ウェルハム(『Pili』など)、アーヴィン・チェン(『台北の朝、僕は恋をする』など)、そして日本でも人気のある李相日(『フラガール』『国宝』など)が担当。壮大な映像美を作り上げた撮影監督は映画『ター』で注目されたフロリアン・ホーフマイスター!
そして小説とあらすじは同じながら、時代をかけめぐるメリハリのある世代間のつながりをより強めた脚本に仕上げたのは、構成、脚本、製作総指揮はスー・ヒュー。
ちなみにシーズン2のエンディングでは、BLACKPINKのロゼが歌う「Vita La Vida」が流れます!
複雑な歴史と、女性の自立
日本と韓国の植民地時代からの歴史を、在日韓国人からの目線でハリウッドが制作したAppleTV+『Pachinko パチンコ』。ただ本作は、そういった歴史的な問題だけが描かれるのではなく、あくまでも中心的に描かれるのは、韓国から日本へ移住してきた一家の4世代の不屈の探求による運命的な人生と記録。人種差別、移民問題、男女ともに、らしさをしいられることへの生きづらさ、そして親から子への期待と自己犠牲、期待に負けてしまう子供・・・ 現在にも続く普遍的な問題も同時に提起され、全世界、見る人誰もが共感し、強いメッセージを感じるはず。そして、混乱の時代、虐げられた女性でありながら、たくましく生き抜く、主人公ソンジャのストーリーを通して自分たちの在り方、生き方を今一度考えたくなる一見の価値のある作品です。
作品に深みをもたせる、多彩な俳優陣!
韓国を代表する俳優から大型新人まで、知名度にとらわれないキャスティングが話題のApple TV+『Pachinko パチンコ』。大人から子供まで俳優たちの、まるで憑依したような役を生きる演技も本作の魅力です。
幼少期のソンジャ:ユナ
ユナ
凛とした佇まいの透明感溢れるソンジャの幼少期を熱演。ユン・ゲサンと共演したドラマ『誘拐の日』での迫真の演技が話題となり一躍人気子役に。同作では、第60回百想芸術大賞のテレビ部門女性新人演技賞を受賞。
大人になったソンジャ:キム・ミンハ
キム・ミンハ
10代から大人になるまで。世間知らずの少女が時代の荒波をたくましく生き抜くまでのソンジャを、違和感なく演じきったキム・ミンハ。なんと『パチンコ』が初主演という新人俳優。隣人だった名俳優ソル・ギョングの勧めで俳優を目指したとか!
晩年のソンジャ:ユン・ヨジョン
ユン・ヨジョン
晩年のソンジャ役。苦労をしながら激動の時代を生き抜き、悲しみを背負いながら家族を支える姿が印象的。映画『ミナリ』で、韓国人俳優初、米アカデミー賞最優秀助演女優賞に輝いた、泣く子も黙る大女優。粋で歯に衣着せぬ毒舌にも人気があり『ユン食堂』シリーズや『花よりお姉さん』などリアリティバラエティにも出演。
ソンジャの孫ソルモン:ジン・ハ
ジン・ハ
家族思いで、賢く、エネルギー溢れる、ソンジャの孫、ソロモン役。2018年デビューのアメリカを拠点に活動する韓国人俳優。『Devs』などに出演。韓国、日本、イギリス、アメリカ、カナダ、オーストリアなどなど数カ国で俳優を探し、適任者はユニコーンを見つけるぐらい大変だったというソロモン役を、大抜擢ながら、原作のイメージそのものの表現で視聴者を魅了した。
ノアの実の父親ハンス:イ・ミンホ
イ・ミンホ
出会ったしまったら必ず惚れてしまう圧倒的なオーラでハンス役にリアリティを持たせ、腹黒さと優しさのバランスで視聴者を魅了したイ・ミンホ。韓国だけでなく全世界で人気のあるスター俳優で、インスタのフォロワー数は3500万超え。開封するのに3日もかかるほど、誕生日には世界中からプレゼントが届くとか。編集に1年を費やしたという話題のドラマ『星がウワサするから』が配信開始。
ソンジャの義理の姉キョンヒ:チョン・ウンチェ
チョン・ウンチェ
裕福な家庭で育った世間知らずのお嬢様だが、透明感と優しさで一家を包む、ソンジャの義理の姉キョンヒ。2012年にデビューし翌年ホン・サンス監督の映画『ヘウォンの恋愛日記』の主演に大抜擢。すらっとした長身に清楚なルックスでフェミニンな役を当たり役としていたが、ドラマ『ジョンニョン:スター誕生 』ではショートヘアにイメチェン。国劇の男役トップスターを演じ話題に。
ソロモンの同僚 直美:アンナ・サワイ
アンナ・サワイ
女性の社会進出が今よりもまだ難しかったバブル時代、男性中心の金融業界でキャリアを積む直美役。知的で媚びない佇まいがまさに直美そのもの! ニュージーランドで生まれ、デビューは12歳の時のミュージカル『アニー』ですが、海外を拠点に活躍中。大ヒットしたドラマ『SHOGUN 将軍』では、エミー賞の主演女優賞、ゴールデングローブ賞のテレビドラマ部門主演女優賞などを受賞し注目を集める。
ハンスの右腕チャンホ:キム・ソンギュ
キム・ソンギュ
気持ちを押し殺しながら高い忠誠心でソンジャ一家を守るチャンホ。名バイプレイヤーとして連続殺人鬼から刑事までオールマイティに役柄をこなす憑依俳優として定評があり、その印象は毎回別人! 主演ではなくても毎回強烈な存在感で視聴者を虜に。代表作は映画『悪人伝』ドラマ『キングダム』『ある日 真実のベール』など。
ソンジャの夫イサク:ノ・サンヒョン
ノ・サンヒョン
知的で、清潔感と誠実さが溢れるシーズン1の救いのようなイサク役を好演。アメリカで育ち『パチンコ』に出演するまでは韓国でも知名度が低かった新人俳優。その後、ドラマ『カーテンコール』『エージェントなお仕事』映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』などに立て続けに出演し主演クラスの人気に!
少年期のノア(ソンジャの長男):キム・ガンフン
キム・ガンフン
戦争が始まり父イサクがいない中、母ソンジャを懸命に支える少年期のノア役。4歳でデビュー。言わずと知れた韓国の子役出身の人気俳優。子役時代に出演した作品は『ミスター・サンシャイン』『椿の花咲く頃』など数えきれないほど。見るものの心を動かす天才的な演技力にファンが多い。
青年期のノア(ソンジャの長男):カン・テジュ
カン・テジュ
一家の期待に応えようと懸命に生きる聡明で繊細な青年期のノア役。2020年にドラマデビュー。映画デビュー作となった『貴公子』では、1980倍の倍率を勝ち抜くなど期待の大型新人。
幼少期のモーザス(ソンジャの次男):クォン・ウンソン
クォン・ウンソン
愛嬌たっぷりに懸命に生きシーズン2の心の安らぎ、愛すべきキャラクターだったモーザスの幼少期が印象的。韓国ドラマに多数出演する人気子役で、『椿の花咲く頃』ヒャンミの愛らしい弟役でデビューし一躍注目されるように。疎開時代のノアを演じたキム・ガンフンも『椿の花咲く頃』の熱演で有名な天才子役出身。
青年期のモーザス(ソンジャの次男):髙田万作
真面目な兄を尊敬しながらも、コンプレックスを抱く、いたずらな表情が魅力的な青年期のモーザス役。韓国語はこのドラマの撮影のために習得したそう。映画『流浪の月』などに出演。
大人になったモーザス(ソンジャの次男):ソウジ・アライ
優しさと厳しさ、そして色気が同居する大人になったモーザスを熱演。『パッチギ!LOVE&PEACE』や『ラーメンガール』など映画を中心に活躍、10年前からハリウッドを拠点にして活動。日本語、韓国語のほかに、英語、イタリア語の4か国語を話せるマルチな俳優。
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