俳優・鳴海 唯さん『自分を“カッコ悪くていいじゃん”と思えるようになりたい』

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これまでのこの連載を読んで「こんなふうにカッコよくなるにはどうすればいいんですかね…」と呟いた鳴海唯さん。ご本人は内側から発光するようなオーラを纏っているのにそんなふうに思うこと、それをありのままに語る姿に等身大の強さを感じました。自分にも周りにも正直に、カッコつけない等身大の女性でありたいと話す、鳴海さんのインタビューを公開します!

悔しい気持ちをつい繕ってしまうけれど“カッコ悪くてもいいじゃん”と本当に思えるようになりたい

役者になるのは、小学生からの夢でした。でもそんな職業についている人はまわりにはおらず、別世界の話。周りに役者の夢を話しても冗談だと思われていて、気がついたら18歳。大学進学が当たり前の環境で、周囲は受験モード。やりたいことよりも、少しでも偏差値の高い大学に入ることが目的になっているような学歴ムーブに違和感を抱きつつも、親にも先生にも「役者になりたい」とは言えなくて…。地元よりチャンスがあるかも、と東京のメディア関連の学部を受験しましたが失敗。関西の大学の舞台芸術学科に進学しました。転機になったのは入学してすぐ、映画『ちはやふる -結び-』のエキストラ募集に応募したこと。同世代のプロフェッショナルの方々を初めて間近で見て、「このままだと本当にやりたいことに挑戦しないまま終わるかも」と本当に焦り始め、上京を決意。親を説得して、1回生の夏に大学を辞めて東京の養成所に入り、芝居の勉強をスタートしました。親には本当に申し訳ないことをしましたね…。

憧れの先輩と仕事するなかで、考え方が変わった

2023〜2024年は、大河ドラマやゴールデンの帯ドラマが決まり、自分が憧れていた俳優のみなさんと仕事をする機会が増えた時期でもありました。『どうする家康』の松本潤さん、『Eye Love You』の二階堂ふみさん、『あのクズを殴ってやりたいんだ』の奈緒さんのように、作品を背負っていらっしゃる方々の背中を近くで見ることができた時間は、自分にとってとてもプラスの刺激になりました。主演を務める先輩方はとにかく視野が広くて、周囲への配慮もきめ細か。そんな姿を目の当たりにして、改めて「私は自分の役のことしか考えていなかったな」と痛感しました。特につい最近までご一緒していた奈緒さんは、ボクサーを目指す役柄でボクシングの練習も食事制限も大変なはずなのに、辛い姿を絶対に見せず、ずっとニコニコしていて太陽のような存在。制限なく食事している私よりも元気なんです(笑)。気さくに話しかけてくださることも多く、笑顔でオープンマインドでいることを心掛けていらっしゃるんだろうな、と感じていました。余裕があって素敵な先輩たちとご一緒するなかで、私自身も現場での立ち居振舞いや自分の考えを俯瞰できるようになってきました。今の自分はどの域まで達しているのか客観的に理解することができて、やるべきことがよりクリアになりつつあります。役者として前進できたのは、尊敬している先輩と共演する機会に恵まれたことが大きいと思っています。

負の感情を繕ってしまう性格だけれど

悲しいことや嫌なことがあっても「全然平気」と取り繕ったり、隠す癖があります。例えば、卒業式で泣いているコを見ると、泣かない方がクールでカッコいいと思ったり。親が滅多に泣かないタイプだったこともあって、子どもの頃からそんなふうに考えていました。辛いとか悲しい感情を深いところまでしまってしまう癖がついているから、芝居で感情を引っ張りだす場面では時間がかかることもあります。負の感情を繕うのは、処世術として必要かもしれません。でも一方で、俳優としては、ネガティブな気持ちにも真正面から対峙することが求められ、クリアすべき課題だと思っています。つい、分かったふりをしたり、カッコつけたりしがちなので、そういう部分を排除して、苦手なことにもちゃんと向き合っていきたい。ときにはワガママになっていいし、人前で泣くのも喜怒哀楽の感情のひとつで、別にカッコ悪いことじゃない、と受け止められるようになりたいです。

同い年で活躍している人を見ると焦ります

人と比べずに、自分の人生に集中している人はカッコいい。そうなりたいと思いながらも、やっぱり隣の芝生が青く見えてしまう瞬間があって、恥ずかしながら人と比べてしまいます。でも最近は、「そんな自分も愛してやるか」と。同業の方と比べることもあるし、別の職業でも活躍されている方が、同じ歳だと知るとモヤモヤしたり。その感情がいい方向に働くこともありますが、自分がうまくいっていないタイミングでそういう情報に触れると落ち込みますね。カッコ悪いなと思いながら、エゴサもしちゃいます。撮影期間で集中している時期はエゴサしたいと思わないのですが、隙間があると気になってしまって。ネガティブなコメントには落ち込むし、近しい友達に「このコメント、どう思う?」と相談に乗ってもらうことも。私からすると全員の意見に見えてしまうけれど、「大勢いる中のひとりだよ」と言ってもらうことで心が軽くなるんです。でも本当は「エゴサはしません!」と堂々と言いたい(笑)。SNSを気にしなかったり、エゴサしない派の人に、どうやってやめたのか教えてほしいくらいです。

カッコつけない女(ひと)になりたい

結婚は、いつかできたらいいなと思っていますが、現時点で願望はありません。今の第一優先は仕事。小学生の頃から憧れていた職業を手にできた幸運な人生だから、納得がいくまでやり切ってから次のフェーズに行きたい。漠然と目標にしているのは、自分が出演する作品を通して、社会貢献すること。ひとりでも多くの人が笑顔になったり元気になったり。生きる希望みたいなものに少しでも貢献できたら、納得もできるのかな、と思っています。いまだに人と比べては悔しい思いもするし、恥ずかしいと感じますが、そんな自分を「カッコ悪くていいじゃん」と受け入れられるようになるのも理想。30代に向けて目指しているのは、カッコつけない女性。私の友人に、分からないことを分からないと素直に言える人がいるんです。「分からないので教えてください」と言うのは勇気がいるし、会話を止めてしまいそうで私自身はあまり言えないから、羨ましいし、尊敬もしています。分からない自分、できない自分を認めるってカッコいいし、成長にも繋がる。自分にも周りにも正直に、カッコつけない等身大の女性でありたいと思っています。

【衣装クレジット】ポンチョ¥398,200ニット¥143,000キュロット¥105,600(すべてマックスマーラ/マックスマーラ ジャパン)その他すべてスタイリスト私物

ゆるいグルテンフリーをスタート。食後のデザートは和菓子が鉄板
最近初めて、食と向き合ったダイエットを開始しました。これまでは体を動かすダイエットばかりだったのですが、グルテンフリー生活をゆるくスタート。ダイエット中とはいえ、夜ごはんの後のスイーツタイムはなくしたくなくて、洋菓子から和菓子に置き換え。お茶と一緒に大福やみたらし団子を楽しむ時間が至福。すっかり和菓子にもハマっています。食べる量自体は変わっていないのですが、食べるものを意識するだけで結果に繋がっていてモチベーションも上がっています。

鳴海 唯さん
なるみゆい。1998年生まれ。兵庫県出身。2018年、映画『P子の空』で俳優デビュー後、映画、ドラマ、広告と多岐にわたって活躍。出演作に、NHK連続テレビ小説『なつぞら』、NHK大河ドラマ『どうする家康』、TBS『Eye Love You』、『あのクズを殴ってやりたいんだ』など。現在は、ABEMA・Netflixにて『わかっていても the shapes of love』が配信中。主な出演者は、横浜流星、南沙良、佐野玲於ほか。ショッピングの行きつけはSUPER A MARKETとH。古着屋・Jantiquesから伊勢丹まで幅広く網羅するファッションフリークな一面も。