子育てのパワーをくれる【韓国ドラマのオンマ】3選!VERYライターが厳選

コロナ禍を経て、私たちの生活にカルチャーとしてしっかり根付いた韓国ドラマ。主人公カップルの恋愛から女性ホルモンを充填するだけじゃなく、オンマ(韓国語で“母親”の意味)たちの生き様にも刮目したい。型破りなパワーマザーたちは日々の悩みの突破口を見出してくれるはず。

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ついつい“オンマ”の存在感が気になってしまう私たち
読む韓ドラ勝手にパワーマザー大賞

母らしさにとらわれない
“オンマ”の多様性について語りたい

2020年の春、政府の緊急事態宣言を受けてみんなが自宅にこもっていたあのとき。多くの女性(結構男性も!)が睡眠時間を削りアドレナリンを大放出させながら鑑賞したドラマ「愛の不時着」。今やリアル夫婦となった主演のヒョンビンとソン・イェジン、脚本と脇役の素晴らしさ、壮大なロケーション…すべてが奇跡的なバランスでケミストリーを起こし、展覧会やミュージカルにまで興行の裾野を広げた一大ヒットとなったわけですが、このメロドラマの隠れた主役は、実は“オンマたち”なんじゃないかと思うのです。だって全16話のドラマにざっと計算して7人ものオンマが登場(笑)。それぞれに子どもを愛し、関係性に悩み、日々を大切に生きている。そんなオンマたちを見ていると、こうじゃなきゃいけない、みたいな固定観念が吹き飛ぶような気がしたものでした。今も昔も、とにかくオンマが重要な役割を担いがちな韓国ドラマ。VERY世代のママにとってのお悩みあるあるにアンサーをくれる三作品のオンマたちを、ライター遠藤が勝手にパワーマザー賞にノミネート!

 

子どもについイライラしてしまったときパワーをくれた!

普段は見落としがちな喜びを
全力で拾える“感謝”モードがONに

シーズン3を心待ちにするファンも多い人気シリーズのただ1話のみに登場するオンマということでいきなりニッチなのですが、私のなかで教訓濃度高めなのでご紹介。重い病で長いこと小児病棟に入院している女の子のお母さん(もうそれだけで号泣フラグ)。娘を大切に思うあまり医療従事者に高圧的な態度を取るオンマはちょっと周り見えてなさすぎ!と突っ込みたくなるほど傍若無人なのですが、あることをきっかけに周りへの態度が激変。シーズン1の第1話にして、涙のクライマックスが押し寄せます。そしてふと自分と子どもの生活に立ち返った観賞後、煩わしかったおしゃべり攻撃も、うんざりなワガママも、なかなか寝付かず絶望していた絵本タイムすらもすべてが尊く感じられるという驚きの洗浄能力を実感。オンマ役は、ヨム・ヘランさんというベテラン俳優で「ザ・グローリー~輝かしき復讐~」では夫のDVから身を呈して娘を守る母、「マスクガール」では息子の復讐のため常軌を逸した行動を取る母を怪演。どちらも母であることの業みたいな部分の演技が狂気じみていて私の推しオンマ俳優です。

「賢い医師生活」
シーズン1第1話ミニョンのオンマ

俳優 ヨム・ヘラン

「賢い医師生活」

ソウル大医学部の同級生5人。それぞれが医師として大成し再び同じ大学病院で働き始めることで止まっていた友情が動きだすヒューマンストーリー。病院を舞台にした悲喜こもごもに涙腺崩壊。完走後のデトックス効果がすごい。

Netflixシリーズ「賢い医師生活」シーズン1~2独占配信中

子育てがうまくいかないと悩んだときパワーをくれた!

子どもサイドも、
親にわかってもらえないって悩んでいるのかも!?

「よくおごってくれる綺麗なお姉さん」のチョン・ヘイン×「この恋は初めてだから」のチョン・ソミン(高校時代の回想シーンまで子役を使わず本人出演!)。キラキラな二人が主演の正統派ラブコメなのに、4人のオンマたちがマシンガントークしながら山登りという冒頭のシーンがいきなり強烈。サイドストーリーの枠を超えた“母”の目立ちように同類項として胸がアツくなる新作ドラマです。頭脳明晰で努力家。アメリカ留学後、現地の大企業に勤め、理想の結婚相手と挙式寸前というところで突然すべてを捨て帰国した娘と母の確執を描くところから話が始まるのですが、そのやりとりは親子の年齢やスペック問わず母と子における不変的な関係性とマナーが込められていると感じました。妊娠・出産の過程を経ると、どうしても“由来”の二文字がチラついて子どもを自分の分身のように錯覚してしまうことがあるけれど、考え方もタイミングもそれぞれで、秘密だってある。その違いを尊重することで想定外の行動や会話をむしろ楽しめるようになるのかも。他にも、様々な母の在り方が組み込まれています。オンマ役のパク・ジヨンさんは、「シスターズ」でも子どもたちを捨ててダメ夫との愛を選ぶ不安定なオンマを好演。結果姉妹間の絆が深まるという展開でそっちもそっちでパワーマザーにノミネートしたい!

「となりのMr.パーフェクト」
ソンニュのオンマ

「となりのMr.パーフェクト」 ソンニュのオンマ

「となりのMr.パーフェクト」

人生をリセットするべくアメリカから韓国へ帰国したバリキャリ女子と幼馴染みのイケメン建築家。母同士も仲の良い知った間柄のはずの二人には、それぞれ複雑な過去と思いが。恋愛要素とシリアスな話が織り混ざった微糖仕上げ。

Netflixシリーズ「となりのMr.パーフェクト」独占配信中

ママ友との付き合いがしんどいときパワーをくれた!

子どもの衛星になりきって、
あえて主体性を置き去りにしてみるのも手

もはや一つのカテゴリー化しているといっても過言ではない、韓国ドラマのタワマン系ママ友ストーリー。サスペンス要素の強いものから、とんでもない展開にあっけにとられる作品まで散見しますが、なかでも良作だなと思うのがこちら。情熱的な国民性もあってか子どもの教育と世間体に命を懸ける母たちの攻防戦。基本ぶつかり合うことしかしない彼女たちがふと鎧を脱ぐシーンがあって、そこに“ママ友”という存在の本質を見たような気がしました。いがみ合う母親同士がひょんなことでともにワインを酌み交わすことになり、腹を割って話してみたら意外に話が通じるし、そんなに嫌いじゃないということがわかる。それでも子どもの教育が関わるなら話は別。ということでまた各々のスタンスに戻っていく。そんな描写から、子どもという星を軸に、見守り目的で公転している者同士、本心が見え隠れしたり、立場的に嚙み合わないことがあってもいいじゃない。というメッセージを受信し実生活に活かしています(笑)。割る腹も限られているし…。実際それに尽きるというか、それでいいのだと割り切ればずいぶん気が楽になりませんか?VERYの絵作りの一端を担っている私自身、そこで描かれるママはときに眩しすぎて中心から外れる自分に落ち込むことも。その点、韓国ドラマのなかで生きるオンマたちは良くも悪くもみんなビビッドで個性的。たとえそれが誇張された作り話であっても、共感と気づきがあるシーンの数々が私たちマザーズへのエールに思えて仕方ないのです。そんなロールモデルのようなオンマを見つけるのもドラマ観賞の醍醐味。みなさんはどのドラマのどのオンマにパワーマザー賞を授与しますか?

「グリーン・マザーズ・クラブ」
ピョン・チュニ & イ・ウンピョ

ピョン・チュニ
イ・ウンピョ

「グリーン・マザーズ・クラブ」

韓国で加熱する受験競争への問題提起とも取れる作品。母同士の熾烈な嫉妬が生む抗争、犯罪に巻き込まれていく子どもたちを見ていると、本当の幸せについて考えざるをえない、まさに人のフリ見て…的な反面教師ドラマ。

Netflixシリーズ「グリーン・マザーズ・クラブ」独占配信中

VERYライター 遠藤彩乃
韓ドラデビューは大学時代に母と見始めた「天国の階段」。第二次ブームでは「美男ですね」に激ハマり。母になり迎えた第三次、感情移入する役柄が端に寄ってきていることでF1からF2層への移行を知る。『スクールゾーンはしもの韓流あるある』(世界文化社刊)のライティング担当。

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取材・文/遠藤彩乃 イラスト/佐伯ゆう子 編集/石川穂乃実
*VERY2025年1月号「読む韓ドラ「勝手にパワーマザー大賞」」より。
*掲載中の情報は誌面掲載時のものです。商品は販売終了している場合があります。