娘の「本読んで」攻撃に応えてあげられなくて困っています【ジェーン・スー×HARUKOの人生相談Vol.35】

STORY[ストーリィ]

40代女性の気持ちを代弁するような明快な語り口が人気のコラムニスト、ジェーン・スーさん。新聞やラジオ、雑誌で多くの方のお悩みに答え、その胸のすくような回答には励まされる読者も多数。

一方、波乱万丈の人生経験を持ちながら、いつも前向きで飾り気がない人柄で、誰からも愛されるモデルのHARUKOさん。歯に衣着せぬ語り口で、仲間のお悩みにさっと答えてくれると評判です。

そんなおふたりに『STORY』読者の真剣なお悩みに答えていただきます!

<PROFILE>

ジェーン・スーさん

STORY[ストーリィ]

コラムニスト。TBSラジオ「ジェーン・スー 生活は踊る」(月〜木11:00〜)のパーソナリティを担当。毎日新聞をはじめ新聞・雑誌で数多くの連載を持つ。『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』は、第31回講談社エッセイ賞を受賞。

HARUKOさん

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モデル。短大時代、『JJ』にて山田明子(はるこ)の名でデビュー。以来、数々のファッション誌で活躍。’03年に結婚後、九十九里浜に移住、長女を出産。’12年に離婚。HARUKOに改名し、現在『STORY』にて活躍中。趣味はサーフィンと読書。


~第35回~

◇ 娘の「本読んで」攻撃に応えてあげられなくて困っています

6歳の娘は、最近、本を読みたがるようになりました。読書好きに育ってほしいと願っていたので、うれしいのですが、「読んで、読んで」攻撃がすごいのに困っています。

読み聞かせは、子どもにとってすごく楽しくためになる経験だろうし、私もしっかりむきあって読んであげたい気持ちはあるのですが、仕事から帰ると、子どもにご飯を食べさせて、お風呂に入れて寝かせることにいっぱいいっぱいで、どうしても読み聞かせまで手が回りません。面倒くさそうにしてしまったり、「明日ね」とか言ってしまう自分に、罪悪感を感じます。まだ、自分でどんどん本が読める子ではないので、どうしたらいいのかと考えてしまいます。

(東京都在住 40歳 証券会社勤務)

ジェーン・スーさん

この方シングルマザーなのかな。お父さんは本を読んであげないのかなあ。

HARUKOさん

確かにねえ。“かわりばんこ”で読み聞かせをやってあげればいいのにね。私は、子どものころ、母に「本を読んで」ってすごく言う子どもで、母は毎日読んでくれていたんです。今もはっきり思い出せるのですが、あれはすごくいい経験で、おかげで本がとっても好きになりましたね。娘はあまり「読んで」と言われなかったので、そんなには読まなかったんですけれどね。子ども時代って、本当に一瞬で過ぎ去っちゃうものだから、なんとか頑張って読んであげてほしいなと思うんです。本を一緒に読む時間は、きっと親子にとって、とっても大事なコミュニケーションの時間だから。今、お仕事と育児で、いっぱいいっぱいで大変だというのは、本当によくわかるんですけれど、今、このチャンスを逃すと、お子さんが大きくなってから、読んであげればよかったって、思うんじゃないかな。

ジェーン・スーさん

なるほど。

HARUKOさん

いつもは、お母さんは仕事で近くにいないから、本を読んでもらうのは、お母さんを独り占めできる唯一の時間だって、お子さんは感じているかもしれないし。私のように、もう子育てが一段落した身からしてみると、時間を作ってあげることは、のちのち、よかったなと思うことはあっても、後悔することは絶対にないです。だから、頑張ってやってあげてって思います。

ジェーン・スーさん

なるほどね。実は、私は、親に本読んでもらった記憶が全然ないんですよ。自分から「読んで」って言った記憶もなくて、今もあんまり本を読むほうではないので、今、聞いていて、本を読んでもらった子は、本好きになるんだなって思いました。

HARUKOさん

本を読まない子だったんですか?

ジェーン・スーさん

あまりに読まないので、親が頭抱えていたくらい。

HARUKOさん

意外です。ものすごい読書家で、読書があったからこそ、この素晴らしい語彙力を習得されたのかと思っていました。

ジェーン・スーさん

いえ、そう言っていただけるのはうれしいんですが、自分ではわからないんですよ。自分の良さってわからないものなんですよね。人に言われて初めて「そうなんですか?」と思ったくらいで。

HARUKOさん

へえ!驚きました。で、話がちょっと横道にそれちゃったんですけれど、本を読んであげたいなら、やっぱり、お父さんにも協力してもらったほうがいいと思う。

ジェーン・スーさん

そもそも、お母さんが全部ひとりで仕事も家事も育児もやろうとうするのは、無理がありますよね。

HARUKOさん

子どもって「お母さんじゃなきゃだめ」みたいなことも結構あるけれど、それなら、お母さんが本を読むから、お皿洗いはやってもらうっていうようにすればいい。または、「ここまではお母さんが読むね。その先はパパに読んでもらおうね」って声かけするなどして、分担したらいいんじゃないかな。パパだって、あと4~5年したら、子どもに大して相手にしてもらえなくなるんだから、今こそ思いっきり愛情を注いでおいたほうがいいですよ。

ジェーン・スーさん

HARUKOさんは、子どものころに、どんな本を読んでもらったんですか?

HARUKOさん

家にあったグリム童話の本とか。読んでもらいながら寝ちゃった記憶が今もはっきり残っている。この方は、仕事から帰ってきて、食事作って、お風呂入れてで、忙しく、気持ちもキーっとなってしまっているかもしれない。だとしたら、家事代行で食事の支度だけはしてもらう、というように、家事のやり方を切り替えてみてはどうかな。そうすれば、心のゆとりを持つ時間も捻出できて、人に家事を頼んだ時間を、子どもとすごす時間に充てられるから。あ、でも、読み聞かせすることが、この先子どもが本好きになることにつながるかどうかはわからないけれどね。それとこれとは別ですね。

ジェーン・スーさん

きっと、お子さんにとっては、お母さんに本を読んでもらう時間は、自分だけのことをママが考えてくれる一番いい時間なんでしょうね。

HARUKOさん

ですよね。だから、読み聞かせにこだわらなくてもいいのかもしれない。お子さんがしたいことを一緒にしてあげる、時間をとってコミュニケーションしてあげることが大切なんじゃないかな。

当連載は毎週金曜日配信です。
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撮影/吉澤健太 取材/秋元恵美

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